本サイトは前立腺がんの患者さんとそのご家族を対象としています。

前立腺がんの検査と診断

検査と診断

腫瘍マーカー測定、直腸診、超音波検査で「がんの疑い」があれば確定診断を下すために 前立腺生検を行います。

病期は主にTNM分類で判断される

前立腺がんのスクリーニング検査には、PSA検査、直腸診、超音波検査が用いられます。

PSA検査

PSA(前立腺特異抗原)と呼ばれる腫瘍マーカーを測定する血液検査です。

直腸診

医師が肛門から指を入れて、直腸粘膜越しに前立腺の状態を触診する方法です。

超音波検査(経直腸的前立腺超音波検査)

超音波を発する器具(プローブ)を肛門から挿入し、前立腺の内部をモニター上に画像として描き出します。

最も簡便なのはPSA検査

このうち、最も簡便なのはPSA検査です。この検査だけでがんの診断が確定するわけではありませんが、「疑い」の有無をチェックできるため、最初のスクリーニング検査として最適な方法とされています。採血だけで結果が出るので、何ら自覚症状がない場合でも健康診断の一環のような感覚で受けやすく、住民検診ではこの方法が推奨されています。実際、PSA検査が普及したことで、前立腺がんの早期発見率は格段に上昇しました。

PSA測定法は何種類もありますが、最も一般的なのはタンデムR法です。前立腺がん検診ガイドラインでは年齢階層別にPSAの基準値を定めています。

年齢階層別PSA基準値

年齢階層別PSA基準値

10ng/mLを超える場合、がんである確率は50~80%です。

PSA検査とは?

PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺の細胞でつくられるタンパク分解酵素です。前立腺に何か異常があると、これが血中に漏れて、血清中PSA値が上昇します。前立腺肥大症や前立腺炎でも値が上昇するため、高値だからといって必ずしも前立腺がんとは限らないので、がんの疑いがある、と考えればよいでしょう。PSA値が基準値上限を超えた場合、最終的にがんと診断される率は40~50%で、値が高いほど、前立腺がんが強く疑われます。また、治療後に再発・転移の有無をチェックするときにも、まずこの検査が用いられます。

一般的な検査の流れ

無症状の場合はまずPSA検査を行い、その値によって直腸診や超音波検査、MRI検査を行うのが一般的な検査の流れです。人間ドックでは、検査の精度を上げるために、PSA検査と直腸診が併用されることもあります。

これらの検査で前立腺がんの疑いがはっきりした場合は、最終的な診断のために前立腺生検が行われます。前立腺の組織を採取して、顕微鏡で詳しく調べる検査です。前立腺がんは1つの前立腺のなかで多発することが多く、しかも個々の悪性度が異なるケースも珍しくありません。したがって、精密に検査するために、8~16ヵ所から組織を採取します。

前立腺がんの標準的な診断方法

セカンドオピニオンとは?

担当医から説明された診断や治療方針に納得がいかないとき、さらに情報がほしいときには、別の医師に意見を求める「セカンドオピニオン」を利用する方法があります。セカンドオピニオンを受けたいときには、担当医に紹介状や検査記録、画像データなどを用意してもらう必要があります。ただし、まずは担当医のファーストオピニオンをしっかり聞くこと、セカンドオピニオンの内容は担当医に伝え、もう一度治療方針についてよく話し合うことが大切です。

セカンドオピニオン外来のある病院の情報は、近隣のがん診療連携拠点病院相談支援センターで得られます。予約が必要な、あるいは有料の病院も多いので、セカンドオピニオンを受ける病院に、事前に受診方法と費用を確認しましょう。